骨董品投資とは?市場動向やおすすめの理由、注意点まで紹介

- 「骨董品投資ってどうやるの?」
- 「投資におすすめの骨董品はなに?」
骨董品とは、100年以上経過した歴史的・文化的価値や希少性を持つ品のことです。具体的には、陶器や絵画などのことを指し、その価値の高さから高値で取り引きされる傾向があります。
実際に、数千円で購入したものが数年後に何倍にもなることがあり、実物資産として投資する方も多くいます。近年では、日本でも骨董品の需要が高まり、投資目的での購入が増えているのが事実です。
なかには、骨董品にもともと興味があり、投資をしてみたいと考えている方もいるでしょう。ただし、知識のないまま始めるのは、リスクがつきまといます。
そこで本記事では、骨董品投資について紹介します。骨董品投資の市場動向やおすすめの理由、注意点まで解説するので、ぜひ参考にしてください。
骨董品投資とは?
骨董品投資とは、絵画や陶磁器、古美術品など歴史的価値のある骨董品を購入し、その価値の上昇で利益を得ることです。
価値の上昇が見込まれる骨董品を見抜き、価格が上昇したタイミングで売却することによって利益を得ることができます。
骨董品は単なる財産としてだけでなく、美術的・文化的な魅力を備えた実物資産(現物資産)です。株式や債券のように経済的な影響を受けにくく、長期的な資産保全の役割を果たすことが期待できます。
骨董品投資は自宅に飾り、価値が上がるのを楽しみに待てることから、趣味と実益を兼ねた投資手法と言えるでしょう。
日本の骨董品市場の動向
骨董品投資を考えるうえで、『市場全体の動き』や『将来性』を知っておくことはとても重要です。なぜなら、今後の市場の伸びしろや安定性を知ることで、投資対象としての価値がより明確になるからです。
実際、文化庁の発表によると、日本国内の骨董品市場は一時的な低迷期を経て、近年は回復傾向にあります。直近の年間売上高はおよそ2億ドルに達しており、4年前と比べて5,000万ドル以上も増加しています。
一方で、世界のアート市場における日本のシェアは1%にとどまり、アメリカや中国と比べて低い状況です。しかし裏を返せば、それだけ市場の成長余地が大きいということでもあります。
このように、日本国内の骨董品市場は今後の伸びしろが期待できる分野であり、投資対象としても注目されています。
骨董品は価格変動が比較的ゆるやかで、長期的に保有しやすいため、資産を分散したい人や初心者にもおすすめの投資先と言えるでしょう。
骨董品投資がおすすめな理由3選
世界的にも骨董品市場が注目されています。ここからは、骨董品投資がおすすめの理由を3つ紹介します。
1.骨董品自体に価値があり、資産価値がある
骨董品投資がおすすめな理由としては、骨董品そのものが持つ美術的・歴史的価値が資産となることが挙げられます。
希少性の高い骨董品は元々価値が認められており、市場変動に左右されにくい安定した資産として保有できます。そのため、美術品として鑑賞を楽しみながら、資産価値を維持・向上できることは大きな魅力です。
また、現時点では価値が低くても、将来的に価値が高騰する可能性を秘めた骨董品も存在します。値上がっていく様を見ていくのも骨董品投資の醍醐味のひとつです。
2.節税対策になる
節税対策になることも、骨董品投資がおすすめな理由のひとつです。日本では、美術品や骨董品が減価償却資産として認められており、骨董品を購入して経費として計上することが可能です。
ただし、額縁代や配送料などの諸経費も含む購入価額が100万円未満が対象となります。購入価額が100万円以上のものは、原則として減価償却の対象には該当しません。
時の経過により価値が減少することが明らかなものは、減価償却の対象となる資産として取り扱われます。保有中は株式の配当のような課税もないため、資産を骨董品に移すことで税負担の軽減を図ることが可能です。
3.値上がりして利益が得られる
値上がりして利益が得られることも、骨董品投資がおすすめな理由のひとつです。例えば、10万円で購入した絵画が、数年後には倍以上の価格になる場合もあります。
とくに、有名作家の作品や希少な骨董品は、時間の経過とともに、その市場価格が上がることがあります。今は評価されていない骨董品でも、後々に評価され、価値が急上昇するケースもあるのです。
購入時より高値で売却できれば、大きな利益が見込めるでしょう。
骨董品投資をするうえでの注意点5選
ここからは、骨董品投資をするうえで注意するべきことを、5つにまとめて紹介します。
維持にお金がかかる場合がある
維持にお金がかかる場合があることに注意が必要です。例えば、絵画や漆器、蒔絵など、適切な温度や湿度を保つ設備費や害虫対策に費用がかかります。
また、定期的な手入れや修復は素人が自己判断で行うと破損や劣化を早める原因になるため、専門業者に依頼する必要があります。
ただし、専門業者に依頼すると、一定のお金がかかってしまうことも念頭に入れる必要があります。保存状態を維持するには、予想以上のコストが発生してしまうことを把握しておくことが大切です。
すぐに現金化できるとは限らない
骨董品は、株式のように簡単に現金化できないことにも注意が必要です。買い手を見つけるまで時間がかかることが多く、希望のタイミングで売却できない場合があります。
急に資金が必要になったときに、対応できないというリスクがあることを念頭におきましょう。ただし、すぐに現金化したい場合には、骨董品買取業者に買い取りしてもらうという方法があります。
買取の場合、すぐに現金化できるものの、購入したときの価格よりも下がってしまう可能性があることに注意が必要です。骨董品投資をする際には、売買時期やタイミングをしっかりと見極めるのが賢明です。
必ずしも価値が上がるとは限らない
骨董品の価値は、必ずしも上がるとは限らないということに注意しましょう。市場の動向によって、価格が下落したり、長期間価格が停滞することも少なくありません。
加えて、維持費がかかることで、損してしまうリスクもあります。そのため、骨董品の購入時に『価値のある骨董品』を見抜くことが重要です。
価値のある骨董品の例としては、付属品に作家のサインがあるものや歴史的に希少性があるものと証明されたものです。必ずしも価値が上がらないことを念頭に置いて、信頼できる情報をもとに見極める目が重要です。
贋作には気をつける
骨董品投資をする際には、贋作に注意が必要です。骨董品の購入経験が少ない人は贋作かどうか見極めることが困難であり、騙されてしまうリスクがあります。
贋作と知らずに購入した場合、のちに売却しようとしても売れません。近年ではオークションハウスや専門店が鑑定技術を向上させており、以前なら見過ごされた贋作も発見されやすくなっています。
間違って贋作を購入しないためには、信頼できる業者から購入することもひとつの方法です。万が一、わからない場合は鑑定書付きの品を選ぶことで、贋作の購入を防げます。
保管方法に気をつける
保管方法に気をつけることも、骨董品投資をするうえでの注意点のひとつです。なぜなら、適切に保管しないと劣化や損傷のリスクがあるためです。
また、骨董品の種類によって、適切な保管方法が異なります。例えば、陶器や絵画などの繊細な骨董品は、湿気や温度の影響を受けやすいことから直射日光が厳禁です。
保管場所の安全性を確保し、破損しないように保険に加入することも検討しましょう。安全な骨董品の場所を確保したうえで、適切な環境で保管をする必要があります。
投資におすすめの骨董品5選
ここからは、投資におすすめの骨董品を、5つにまとめて紹介します。
1.七宝焼
七宝焼は、明治期に発展した日本を代表する金属工芸のひとつで、華麗な色彩と精緻な技術が特徴です。とくに、並河靖之や濤川惣助といった名工の作品は、現代では再現困難な超絶技巧として世界的に評価されています。
繊細で芸術性の高いデザインは国内外のコレクターから人気があり、近年では海外オークションで高額落札される例も増加しています。
その希少性と美術的価値から、七宝焼は投資対象としても注目されており、美と資産性を兼ね備えた骨董品といえるでしょう。
次の記事では、七宝焼について解説しているので参考にしてください。

2.浮世絵
浮世絵は、江戸時代に発展した木版画として、歴史的・文化的価値がある骨董品です。代表的な浮世絵作品として、葛飾北斎の『富嶽三十六景』や歌川広重の『東海道五十三次』が挙げられます。
保存状態の良い初刷りの版画は高値で取引されます。一方で、比較的手頃な作品も多く、初心者にも集めやすい骨董品です。海外でも高い評価を受けており、値段の上昇が期待できる骨董品です。
3.陶磁器

日本の陶磁器は、特殊な技法や貴重な素材で作られていることが多く、品数も少ないことから国内外で高く評価されています。江戸・明治期の優品は、美術的価値と希少性から価格が上昇しやすい傾向にあります。
とくに、明治期に海外輸出された精巧な作品は、オークションで高値が付くことも多いです。陶磁器の具体的な例としては、古伊万里や薩摩焼などが挙げられます。
これらの陶磁器は当時に描かれた模様が精巧なことから高い評価を受けています。ただし、陶磁器は高い評価を得ている一方で、贋作も多く出回っていることに注意が必要です。
なお、次の記事では陶磁について詳しく解説しているので参考にしてください。

4.絵画

絵画は、日本画や掛け軸に限らず、海外の美術家による作品も含めて、世界中で高値で取引されている代表的な骨董品の一つです。
例えば、元ZOZOタウンの前澤友作氏が62億円で購入したバスキアの「アナス・ミラビリス(驚異の年)」が109億円で落札されました。このように、絵画作品のなかには億単位の可能性を秘めているものもあります。
絵画は価格の変動時期が読みづらい作品も多くあります。しかし、評価されれば、その価値は急激に上がるので、鑑賞を楽しみつつ、価値が上がるのを待つとよいでしょう。
5.彫刻

彫刻作品は骨董品投資において、隠れた人気ジャンルの一つです。作品に立体的な存在感があり、インテリアや観賞用の用途としても楽しめることが人気の理由です。
とくに、木彫やブロンズ像は素材の入手が難しく、制作にも高い技術が求められるため希少性が高くなります。そのため、資産価値が長く維持されやすいのが特徴です。
江戸時代の仏像は信仰の対象として精緻に作られたものが多く、保存状態の良いものは高額で取引されます。なかでも、価値ある骨董品として注目されているのが、明治期に西洋美術の影響を受けた高村光雲や安藤緑山です。
高村光雲らの作品は日本の伝統技法と写実的表現を融合させた高度な技術力が評価され、現在でも数百万円以上の値がつく作品も存在します。
人気のある骨董品作家5選
ここからはに、骨董品投資で人気のある作家を、5人に厳選して紹介します。
並河靖之(なみかわ やすゆき)

並河靖之は、明治時代に京都で活躍した七宝焼工芸の名匠です。伝統工芸に革新をもたらし、帯状の極細い銀線で色の境界を仕切る『有線七宝』の技法を考案したことで知られています。
並河靖之の作品は鮮やかな色彩と緻密な細工が特徴です。花鳥や蝶などを華やかに描いた作品は、世界中の愛好家を魅了しています。
並河靖之の技術は受け継がれることがなかったことから現在では超絶技巧品となっています。そのため、明治期を代表する七宝焼作家として、並河靖之の作品は数百万円以上の価値があります。
次の記事では、並河靖之の作品について紹介しているので、参考にしてみてください。

濤川惣助(なみかわそうすけ)

濤川惣助は並河靖之と同様に、明治時代に活躍した七宝焼の巨匠です。濤川惣助は、輪郭線となる金属線を用いない無線七宝の技法を開発したことで有名です。
これにより、釉薬のにじみでグラデーションを表現でき、日本画のような絵画的で柔らかなデザインを七宝で実現しています。また、有線七宝と無線七宝を使い分け、遠近感や水面に映る影を表現することにも成功している作家でもあります。
濤川惣助の七宝作品は芸術的価値と希少性から高値で取引されており、一部の無線七宝の名品は数百万円級で落札される例があります。
次の記事では、濤川惣助という人物や作品を紹介しているので、参考にしてください。

林小伝治(はやしこでんじ)

林小伝治は、明治時代の尾張を代表する七宝焼の作家です。京都の並河や東京の濤川と並ぶ名工として評価され、明治期には緑綬褒章(こんじゅほうしょう)を受章しています。
林小伝治の作品は、有線七宝による伝統的な図柄を極限まで精巧に表現したものが特徴です。とくに、紺色の地に花や鳥を描いた花鳥図の花瓶を多く手がけています。
題材自体はありふれているものの、その細工の緻密さと洗練されたデザインセンスは他の追随を許しません。骨董市場でも林小伝治の作品は根強い人気があり、特に七宝コレクターから高い評価を受けています。
作品数は多くありませんが、その希少価値と仕上がりの美しさから高値で取引される傾向にあります。
歌川広重(うたがわひろしげ)
歌川広重は江戸時代後期に活躍した浮世絵師で、風景版画の名手として世界的に知られています。
代表作に東海道五十三次や名所江戸百景などの連作があります。歌川広重の風景画は『広重ブルー』と称され、鮮やかな藍色の表現や大胆な構図で有名です。
骨董品市場においても、広重の浮世絵は非常に人気があります。海外の評価の高さもあり、保存状態の良い初版の作品や希少な図柄は高額で取引される傾向にあります。
例えば『名所江戸百景』や『東海道五十三次』のオリジナル版画は、状態によりますが数十万円前後で落札されるケースが多いです。
高村光雲(たかむらこううん)

高村光雲は明治から大正にかけて活躍した日本の彫刻家・仏師で、木彫による写実表現を極めた人物です。高村光雲の代表作には、上野公園の西郷隆盛像や重要文化財にも登録されてある老猿という作品が挙げられます。
高村光雲の作品は高い評価を得ており、とくに木彫の一点物はコレクターに人気で、もし市場に出れば数百万円以上の買取査定が期待できます。
ただ、高村光雲の手による大型の木彫作品は現在ほとんど美術館に収蔵されており、個人取引に出回る機会は多くありません。そのため、贋作でないか見極めることも重要です。

銀座真生堂では明治工芸品を取り扱っています

銀座真生堂は、明治時代の七宝焼を専門に取り扱っています。
特に明治期に制作された七宝焼や浮世絵に注力しており、並河靖之・濤川惣助など七宝の名工の作品を中心に、高品質な骨董品を厳選して取り揃えています。
また七宝焼以外にも、国内外で評価の高い稀少な美術品を多数扱っています。全ての作品に確かな鑑定が付いており、初心者でも安心して骨董品の魅力を楽しみながら購入できます。
明治の職人技が光る芸術作品を後世に伝え、価値ある骨董品として次世代に繋いでいく架け橋となるギャラリーです。
まとめ
骨董品投資は単なる資産運用手段にとどまらず、歴史や芸術を身近に感じられる点が大きな魅力です。実物を手に取り、その背景にある物語を知ることで得られる満足感は、他の投資にはない醍醐味でしょう。
日本の骨董品市場は緩やかに成長しており、今後国内外からの注目で、市場規模の拡大や価値の向上が期待できます。
もちろん相場の変動やリスクには注意が必要ですが、適切な知識を持てば、骨董品投資は趣味と利益を兼ね備えた奥深い世界を楽しみながら資産形成できる分野です。
歴史ある美術品を鑑賞しながら資産形成を図る骨董品投資の魅力を、ぜひ体感してみてください。