川出柴太郎とは 明治時代に活躍した七宝作家
KukitaIsamu
銀座真生堂メディア|並河靖之と濤川惣助の七宝焼を知る
独自の新たな美を追い求め、無線七宝という新技法を生み出した濤川惣助。迎賓館赤坂離宮の「花鳥の間」と「小宴の間」に飾られた七宝額は最高傑作の呼び名も高く、国宝に指定されています。
その他にも、濤川惣助が生み出した素晴らしい作品は多々あります。
No. | 作品名 | 制作年代 | 所蔵 |
---|---|---|---|
1 | 小禽図長方形七宝皿 | 明治時代 | 東京藝術大学大学美術館 |
2 | 七宝富嶽図額 | 明治26年 | 東京国立博物館 |
3 | 月に秋草図団扇形七宝皿 | 明治時代 | 東京藝術大学大学美術館 |
4 | 月に薊文盆 | 明治時代 | 昇仙峡ロープウェイ七宝美術館 |
5 | 菊花図花瓶 | 明治33年頃 | ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館 |
6 | 藤図花瓶 | 明治時代 | 清水三年坂美術館 |
7 | 芙蓉に鴨図花瓶 | 明治時代 | 清水三年坂美術館 |
8 | 七宝四季花卉図瓶 | 明治時代 | 静嘉堂文庫美術館 |
9 | 月に梅図盆 | 明治時代 | 東京藝術大学大学美術館 |
10 | 御紋付七宝鶏に秋草図花瓶 | 明治時代 | 宮内庁三の丸尚蔵館 |
11 | 七宝桃色暈花瓶 | 明治22年 | 宮内庁三の丸尚蔵館 |
12 | 七宝寰宇無双図額 | 明治27年 | 宮内庁三の丸尚蔵館 |
13 | 菖蒲図皿 | 明治時代 | 清水三年坂美術館 |
14 | 富嶽図シガレットケース | 明治時代 | 清水三年坂美術館 |
15 | 月下牡丹に鳥兜図香合 | 明治時代 | 清水三年坂美術館 |
16 | 舟鷺図皿 | 明治時代 | 個人蔵 |
17 | 芦鴨図盆 | 明治時代 | 清水三年坂美術館 |
同時代、濤川惣助は京都で活躍した並河靖之とともに、「二人のナミカワ」と評されます。七宝作家で帝室技芸員に任命されたのも、この二人だけでした。
濤川惣助は無線七宝という革新的な技法を採用し、七宝作りに励んでいました。
従来の七宝作りは、有線七宝という線を使って、釉薬を挿す際の色の間仕切り兼図柄の輪郭線として金線や銀線を利用していました。
これが作品の図柄を引き立てる大きな役割がありました。
一方、無線七宝では最終的に釉薬を焼き付ける前の段階で敢えて植線を取り外しており、これにより図柄の輪郭線がなくなり、それぞれの釉薬の境界で釉薬が微妙に混ざり合うことで微妙な色彩のグラデーションが生まれ、写実的で立体感のある表現や軟らかな表現を生み出すことが可能にしています。
また、一つの作品の中で有線七宝と無線七宝を使い分けることによって、遠近感や水面に映る影を表現することにも成功している類まれな作家です。
銀座真生堂では、濤川惣助の七宝も取り扱っております。