骨董品

骨董品の鑑定と査定の違いは?鑑定の流れや費用も紹介

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骨董品の鑑定とは、作品の時代背景や制作技法、材質、保存状態、希少性などを総合的に分析し、その真贋と価値を判断する専門的な技術です。

熟練した鑑定士の目は、一瞬の観察で作品の歴史と物語を読み解き、適正な評価を下します。近年、贋作や模造品が増加しており、信頼できる鑑定の重要性はますます高まっています。

本記事では、骨董品の鑑定の基本知識を紹介します。あわせて、鑑定を依頼するタイミングやメリットなども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

専門家による鑑定を受ければ、骨董品が本物で貴重なものかどうか、正しい評価を知ることができます。

骨董品の鑑定とは

骨董品の鑑定とは、専門知識を持つ鑑定士や鑑定機関が骨董品が本物かどうか、いつの時代に作られたものかなどを見極める行為です。値段をつけることが目的ではなく、あくまで作品の真贋や由緒・価値を明らかにすることが目的です。

鑑定を行えるのは正しい知識と経験を持った専門家である鑑定士や公的に認められた鑑定機関が担当します。例えば、日本画や洋画の分野では、東京美術倶楽部・京都美術倶楽部・大阪美術倶楽部などの美術団体が鑑定委員会を設けて作品の真贋鑑定を行っています。

『査定』との違い

骨董品について鑑定とよく似た言葉に査定があります。査定は、骨董品買取業者がお客様から品物を買い取る際にいくらで買い取るか価格を付ける行為です。

買取市場での需要や、オークションの相場、作品の保存状態などを総合して現在の市場価格を算出します。査定額はあくまで買取価格で、鑑定で示される学術的な評価額とは異なることがあります。

鑑定にかかる費用

骨董品鑑定の費用は依頼先や鑑定対象によって幅がありますが、一般的な相場は1点あたり数万円程度です。例えば、民間の鑑定士や鑑定機関に依頼する場合、1点につき約1〜4万円ほどの鑑定料がかかるのが通常です。

著名な作家の作品など、より専門的な知識を要する鑑定では、1点あたり5万〜8万円程度の費用になることもあります。実際、明治以降の有名作家は所定鑑定人に依頼するケースが多く、鑑定人への手数料は一件あたり約6万円前後と言われています。

鑑定の結果、本物と認められた場合には希望により鑑定書の発行を依頼できますが、鑑定書作成には別途費用がかかることが一般的です。

鑑定書の発行料は相場で1〜3万円程度が多く、鑑定料と合わせると1点あたり合計で1〜7万円前後を見込んでおく必要があります。自分の依頼したい骨董品の種類や点数に応じて、適切な鑑定先を選ぶと良いでしょう。

鑑定の流れ

一般的な鑑定の流れは次のとおりです。

  1. 鑑定士や鑑定機関を探して依頼する
  2. 鑑定品の持ち込み・提出
  3. 鑑定の実施
  4. 結果の説明と鑑定書の受け取り

鑑定を申し込む際には、電話やメール等で、鑑定する品物の写真や詳細を載せるとスムーズに行えます。また、骨董品の鑑定対象によっては専門機関が限られてくるので、適切な鑑定先を選びましょう。

骨董品はどんなときに鑑定するの?

骨董品の鑑定について理解したところで、どんな時に鑑定すべきなのか疑問に思う方もいるでしょう。ここでは、主なケースを3つ紹介します。

親から骨董品を遺産として相続した時

1つ目のケースは、親から骨董品を遺産として相続した場合です。遺品整理をしているときに骨董品が出てくるケースはよくあり、その価値がわからなければ、扱いに困ってしまうでしょう。

また、鑑定によって高価なものだと判明すれば相続税の申告が必要になることもあります。逆にほとんど値が付かないものであれば、家財道具としてまとめて評価できる場合もあります。

いずれにせよ遺産として骨董品を受け継いだら、一度専門家に鑑定を依頼して価値を確認することが望ましいです。

所有している骨董品の価値を知りたい時

2つ目のケースは、所有している骨董品の価値を知りたい時です。自宅に飾っている掛け軸や壺、絵画などが本物なのか、どれくらいの価値があるのか、一度は気になった方もいるでしょう。

そんな時こそ、鑑定の出番です。骨董品の価値を見極めるのは素人には難しいため、実際に鑑定してみないことには、価値がわかりません。

そのため、専門の鑑定士に依頼することで、正確な評価額や由緒を知ることができます。鑑定士から作品の背景や見どころについて説明を受ければ、知識が深まり骨董品をより一層楽しめるようにもなるでしょう。

買取を検討している時

3つ目のケースは買取を検討しているときです。手放す予定の骨董品がある場合、いきなり業者に売る前に鑑定を受けておくと安心です。

鑑定によってそれが本物かどうか確認できれば、適正な価格で売却できる可能性が高まります。逆に鑑定書もなく真贋不明なままだと、買い手側はリスクを考慮して低い査定額しか提示しないことがあります。

特に有名作家の作品や高価な骨董品を売る際には、鑑定人の発行した鑑定書があるかないかで買取価格に大きな差が出ます。このように売却前に鑑定を受けて鑑定書を取得しておくことは、骨董品を高く売る上で大きなメリットになります。

ただし、鑑定には費用がかかるため、鑑定料と見込まれる査定額を比較検討することも必要です。

骨董品を鑑定するメリット

専門家に骨董品を鑑定すると、次のメリットがあります。

正確な価値を知ることができる

1つ目のメリットは正確な価値を知ることができることです。自分では漠然としか分からない骨董品の評価も、鑑定士の目を通すことで本当の価値が明確になります。

例えば「古そうだけど価値はないだろう」と思っていた皿が実は著名な作家の作品で高価なものだったといったケースも鑑定により判明します。

適正な評価額を知ることで、売却するにせよ保有し続けるにせよ、正しい判断が下せるでしょう。

保存状態の確認や修復のアドバイスが得られる

2つ目のメリットは、保存状態の確認や修復のアドバイスが得られることです。鑑定の過程で、骨董品の状態も詳しく見てもらえます。

日頃気づかなかった傷みや汚れについて指摘を受けたり、今の保存状況で問題がないか確認できたりします。必要に応じて「このままの状態を保つと良い」「専門の修復師に手当てしてもらった方が良い」など適切な助言を受けられるのも大きな利点です。

また、鑑定士は多くの骨董品を見てきたプロであり、将来的な劣化を防ぐためのアドバイスや、手入れの方法について教えてくれることもあります。

骨董品収集の充実度が増す

3つ目は、骨董品収集の充実度が増すことです。鑑定を通じて、その骨董品の由来や作者にまつわる話などの知識を得られます。

自分の持っている品物について新たな発見があると、骨董品への愛着や鑑賞の楽しさが一段と深まるでしょう。鑑定士とのやり取りで専門用語や歴史的なエピソードを学べば、今後骨董品を鑑賞・収集する際の視点も養えます。

つまり、鑑定は単に値段を知るためだけでなく、骨董品の世界をより深く理解する機会にもなるのです。

骨董品鑑定の相談先2選

骨董品を鑑定してもらいたい場合、大きく分けて次の2通りあります。

それぞれメリット・デメリットがあるので、自分の目的に合った方を選ぶと良いでしょう。

鑑定士が在籍している買取業者や骨董店

まず1つ目の相談先は、鑑定士が在籍している買取業者や骨董店です。こうしたお店の中には、自社に専門の鑑定士を抱えているところがあります。

鑑定士が在籍している骨董店では、その場で持ち込んだ品物を無料あるいは低料金で鑑定・査定してくれる場合が多く、気軽に相談しやすいのがメリットです。

特に骨董品の売却も視野に入れている場合は、鑑定と同時に査定(金額提示)も受けられるため、一石二鳥と言えるでしょう。

ただし、鑑定士の力量不足により、本当の価値を見落とされたり安く見積もられる可能性もあります。

所定鑑定人や所定鑑定機関

もう一つの方法は、各分野で公式に認められた鑑定人や鑑定機関に依頼することです。鑑定人や鑑定機関に依頼するメリットは、鑑定結果の信用力が非常に高く、あらゆる場面で通用するお墨付きになることです。

ただ、鑑定するのは1から8万円ほどの鑑定料がかかり、結果が出るまで時間がかかることに注意しましょう。しかし、専門性が高く、角度の高い鑑定を受けられるので、費用をかけてでも受けておく価値は大いにあります。

骨董品鑑定してもらうときの注意点

骨董品を鑑定に出す際の注意点をまとめます。大切な骨董品の価値を評価してもらうため、以下の点に気を付けましょう。

骨董品の状態を保っておく

鑑定に出す前に骨董品の現状を確認しましょう。ただし、ホコリや軽い汚れは柔らかい布で覆う程にとどめ、過度なクリーニングや素人判断での修復は避けましょう。

下手に手を加えることで、傷やひび割れを広げたり、価値を損ねてしまう可能性があります。特に絵画や掛け軸など繊細な作品は取り扱いに十分な注意が必要です​。

気になるダメージがある場合は、自分で処置せず鑑定士や専門の修復士に相談してください。

付属品も揃えておく

骨董品を鑑定してもらうときは、付属品も揃えておきましょう。骨董品には作品そのものだけでなく、付属品である箱や袋、栞なども含まれます。

その場合はその付属品も一緒に鑑定に提出することが大切です。付属品は作品の情報や来歴を示す重要な手がかりとなり、鑑定や査定の結果に大きく影響します。

例えば、陶磁器に銘や作者名が記された共箱が付いていれば真贋判定の有力な材料になります。また、由緒を書いた栞があれば作品の歴史的価値の裏付けになるのです。

鑑定当日は忘れずに持参し、無くさないよう管理しましょう。

鑑定後は鑑定書を作成してもらう

骨董品を鑑定してもらうときは、鑑定後は鑑定書を作成してもらいましょう。なぜなら、鑑定書はその品の価値を客観的に証明する公式な書類で、将来の売却時や相続時にも役立つからです。

特に高価な骨董品の場合、鑑定書があることで後々のトラブルを防ぐ効果があります。

鑑定書には作者名や作品名、寸法、特徴、鑑定人名などが記載され、第三者に対してもその骨董品の信頼性を示す強力な裏付けとなります。発行に費用はかかりますが、資産価値を保全するためと考えましょう。

銀座真生堂では明治工芸品を取り扱っております

銀座真生堂では、明治時代に作られた工芸品『七宝焼』を取り扱っております。七宝焼は美しい模様や色彩が表現され、現代の技術では再現できない超絶技巧品です。

銀座真生堂は、唯一の明治期の七宝焼専門店として常時、並河靖之、濤川惣助など名工の作品を保有しています。美術館などでガラス越しにしか見ることができなかった並河靖之、濤川惣助の作品を実際にお手に取って鑑賞、ご購入出来る唯一のギャラリーです。

また、銀座真生堂では所有している作品を美術館での展覧会へ貸出すなど文化活動も行なっております。ご興味のある方は、気軽にお問い合わせください。

まとめ

本記事では、骨董品の鑑定について詳しく解説しました。骨董品の鑑定は売却や収集を検討するうえで、骨董品の本当の価値を知る重要な工程です。

骨董品鑑定にはお金がかかってきますが、骨董品と向き合う良い機会にもなり、本当の価値と魅力を発見できます。所有している骨董品の鑑定に興味がある方は、早速鑑定してみることをおすすめします。

また、以下の記事では、骨董品買取の注意点について書いているので、鑑定後の買取を検討している方は参考にしてみてください。

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執筆者
銀座真生堂
銀座真生堂
メディア編集部
七宝焼・浮世絵をメインに古美術品から現代アートまで取り扱っております。 どんな作品でも取り扱うのではなく私の目で厳選した美しく、質の高い美術品のみを展示販売しております。 このメディアで、美術品の深みや知識を発信していきます。
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