骨董品とは?種類や価値あるものの見分け方まで解説

古くより人々の心を捉え続ける骨董品。その色合いや独特の質感、そして時を経るごとに増す風格は、現代では得られない特別な魅力を放っています。
骨董品とは、製作されてから100年以上を経た古い工芸品や美術品のことです。単なる「古いもの」ではなく、歴史的・芸術的・文化的価値を持つ品々を意味します。
そんな骨董品ですが、幅広く定義されている背景もあり、本来の骨董品がどういう物なのか知らない方も少なくないでしょう。
そこで本記事では、骨董品について詳しく解説します。骨董品の種類や価値ある骨董品など、あらゆる視点から解説するので、参考にしてください。
骨董品とは
骨董品(こっとうひん)とは、古い時代の美術品や工芸品、家具など、歴史的・文化的な価値や希少性がある品物のことです。
主な基準としては『古いもの』と『希少価値が高い』といった点が挙げられています。そのため、食器や文具といった日用品から宝石や貴金属のような装飾品など、多岐にわたるのです。
具体的な基準としては『100年以上経過した価値あるもの』を骨董品と呼びます。ただ、日本では数十年古いものを骨董品と呼ぶことがあり、古くなって役立たずの物も当てはまることがあります。
骨董品・アンティーク・古美術品の違い
骨董品とアンティークは同じ意味です。一般的に、フランス語のアンティーク(antique)を訳したものを骨董品と呼びます。
ただし、日本や中国などアジアで作られた物を『骨董品』、ヨーロッパで作られた物を『アンティーク』と呼ぶことが多いです。また、日本で作られた物は明治以前を『骨董品』、明治以降を『アンティーク』と呼ぶこともあります。
骨董品と混同しやすい言葉として、古美術品があります。違いとしては、古美術品は骨董品の中でも、美術的価値がある古い物や美的鑑賞に重点を置いた作品を指している点です。
例えば、日本では葛飾北斎の『富嶽三十六景』、世界ではダ・ヴィンチの『サルバトール・ムンディ』が代表的な古美術品です。このように、骨董品・アンティーク・古美術品はほぼ同じでありながら、少し意味や捉え方が変わってきます。
骨董品の種類|9つを解説
ここからは、骨董品の種類を9つにまとめて紹介します。
陶磁(とうじ)

陶磁とは、原料である土や石を成形し、焼き固めたものです。日本では縄文時代から作られ始め、今では生活に欠かせない物となっています。
陶磁の例としては、陶器や磁器などです。素地の質や焼成温度の違いによって、土器・陶器・炻器(せっき)・磁器に分かれます。
中には、伝統工芸品に指定されるものも多く、価値ある骨董品として世界的にも注目されています。
次の記事では、陶磁について更に詳しく解説しているので参考にしてください。

漆器(しっき)

漆器とは、漆の木から取れる塗料を使って作られた工芸品のことです。器にツヤや装飾が施されており、見た目が非常に美しいことが特徴的です。
例えば、青森県の『津軽塗』や石川県の『輪島塗』が代表的な作品になります。この作品以外にも、漆器の種類は豊富で、30種類以上あると言われています。
30種類以上あるのにもかかわらず、地域によって技法や魅力が違うのも特徴の一つです。
次の記事では、漆器について更に詳しく解説しているので参考にしてください。

絵画(かいが)

絵画とはキャンバスや紙といった平面の物に、顔料で物の姿や形を表現した物です。平面に描いたものは全て絵画になるため、色彩画や版画、切り絵も絵画に含まれます。
必ずしも、紙に書いたものが絵画ではありません。また、絵画は描くテーマや技法、国によってジャンルが細かく分けられます。
例えば、テーマとしては人物画や風景画、宗教画が挙げられ、技法では油絵や水彩画、パステル画が挙げられます。また、日本で描かれた絵画を日本画、西洋で描かれたものを西洋画と言います。
もちろん、絵画のジャンルはこれだけではありません。他にも、もっと細かく分けられます。
刀剣(とうけん)

刀剣とは、刀身や剣身を備えた武具の総称です。片刃の物を『刀』、両刃の物を『剣』と区別します。刀剣の種類には以下のものが含まれます。
- 刀
- 剣
- 槍
- 薙刀
刀剣は、世界では武器として使用されていました。しかし、日本では祭祀や権力の象徴としても使用されていました。
現代の日本では銃刀法で、刀剣の所持に関する規定が定められており、登録証がないと所持できません。
古銭(こせん)

古銭とは、古い時代の貨幣や通貨のことを指します。世界各地の古銭は、素材や形状、鋳造技術などの違いがあります。
例えば、日本では和同開珎や六文銭、世界ではアメリカのセント・ゴーデンズ・ダブルイーグルやイギリスのウナライオンコインが有名です。
また、古銭は世界中で人気の骨董品収集の1つです。その収集は歴史的背景や時代背景を学ぶきっかけにもなり、美しさや希少性を楽しめます。
金工品(きんこうひん)

金工品とは、金や銀、銅、鉄などの金属素材を加工して作られた物です。金工技術には、溶かした金属を流し込み形作ったり、叩いて形作る技術があります。
例えば、富山県高岡市で作られた高岡銅器や岩手県盛岡市で作られている南部鉄器が有名です。これらは日用品の枠を超え、高い芸術性と美的価値を持ち合わせています。
また、現代にもその製法は受け継がれ、1つずつ職人の手で丁寧に作り続けられています。長年、作り続けてきた技術と美しさが、骨董品としての価値を高め、高値で売買されることもあります。
次の記事で、金工について詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

彫刻(ちょうこく)

彫刻とは、石や木、金属、粘土を彫ったり、刻んだり、組み立てて作る3次元の立体美術作品のことです。日本では、仏教伝来がきっかけで、仏像の制作で作られました。
仏像や建築装飾、熊が魚を捕まえた姿の木彫りを見たことがある方もいるでしょう。他にも、世界的にはミケランジェロの『ダヴィデ像』や中国の『兵馬俑』が有名です。
現代でも彫刻の骨董品が人気を博しているのは、希少価値の高さにあります。芸術性の高さや保存状態が良いものが少ないことが現状です。
また、次の記事では、彫刻について解説しているので、参考にしてください。

印籠(いんろう)


印籠とは、室町時代に明から伝わった物で、小さな携帯用の入れ物のことです。元々は、印判や印肉を入れるものとして使用されていましたが、後に薬入れとして使用されています。
また、最初は薬入れだった印籠が、漆絵や金箔などの装飾が施されるようになり、現代で評価されるほどの美しさとなりました。現在では、幕末に印籠の多くが海外に流出したこともあり、日本国内で収集している方は少ないと言われています。
以下の記事では印籠についてまとめた記事なので参考にしてください。

茶道具(ちゃどうぐ)

茶道具とは、茶道で使用する道具のことです。茶道に使う道具として主に次の5つに分けることができます。
- 装飾用具
- 点茶用具
- 懐石用具
- 水屋道具
- 待合用具
これらの道具は日本の『侘び寂び文化』が詰まっており、日本の伝統的な物として高い価値があります。中には、数千万円の価値にもなる貴重なものも存在します。
また、茶道具の価値を見極める鑑定士が少なく、限られた方だけが正確な価値を鑑定できることも、茶道具の価値を高める理由の1つです。
価値ある骨董品にある3つの共通点
ここまで、骨董品にはどんな種類があるのか見てきました。ただ、骨董品には無価値なものから何千万円の値がつくこともあります。しかし、なぜ何千万円もの価値がつくのでしょうか。
ここでは、価値ある骨董品の共通点を3つ解説します。
歴史的背景がある
価値ある骨董品の1つ目の共通点は、歴史的背景があることです。なぜなら、歴史的背景がある骨董品は貴重であり、価値がつきやすいためです。
また、歴史的人物が所有していた物や歴史的事件に巻き込まれ残った物などはよりその価値が高まります。例えば、織田信長や徳川家康が所有していた茶器というだけで価値が跳ね上がります。
歴史的背景があることで、ただの年代が古いという要素だけでなく、その時代の文化や技術を表すものとして骨董品の価値を高めるのです。
有名作家による作品
価値ある骨董品の共通点2つ目は、有名作家による作品です。誰もが聞いたことのある作家の作品は、一般人が作った作品とは一線を画します。
なぜなら、有名な作家の作品は、市場からの需要や人気が高く、入手が困難なためです。例えば、尾形光琳の蒔絵や千利休の茶器というだけで希少性と芸術性の高さから高額で取引されることが多いです。
また、そこまで著名でない作家であっても、作家の作品であるというだけで価値が上がる可能性もあります。作家の作品か確認するために、作家のサインや落款を探してみましょう。
しかし、サインがあるからといって必ずしも価値が高いわけではないので注意が必要です。
希少性がある
3つ目は希少性があることです。希少性が高い骨董品は、そもそも市場に出回る数が少なく、存在するだけで価値があります。
例えば、製作された時代の稀少な技術やロストテクノロジーと呼ばれる現代では再現困難な技術が用いられた品です。加えて、歴史的事件に巻き込まれて少なくなった作品も、その少なさからその価値を上げる要因になります。
単に古いだけでなく、その存在理由に希少価値があるため、コレクターや専門家に高く評価されます。
骨董品紹介三選
骨董品の作品は数多くあります。
ここでは、以上の3つに絞って紹介します。
並河靖之『七宝焼』

七宝焼とは、金属の素地にガラス質の釉薬を高温で焼いて作られる伝統工芸品です。並河靖之の作品には、鮮やかな色使いが特徴的です。
七宝焼はどの作品も色彩豊かですが、並河靖之の作品は顕著に現れています。また、自然の要素が含まれ、花や蝶などが多く描かれた作品が多くあり、より深みが増しています。
次の記事では七宝焼についてさらに詳しく解説しているので、参考にしてください。

蒔絵

こちらは、黒漆に2匹の鶯が蒔絵で描かれた、黒と金のコントラストが美しい印籠です。印籠は、判子や薬などを入れて持ち歩く小さな箱で、身分や地位の象徴としても使われました。
2匹の鶯が精巧に描かれており、鱗粉のように周りに散らされた模様も美しく表現されています。1段目には印材を入れる穴が二箇所あります。
次の記事では、蒔絵について詳しく解説しているので、参考にしてください。

春扇/東海道 日坂

こちらは春扇という作家が東海道の日坂を歩いている様子を書いた浮世絵です。三味線を持った女性が精巧に描かれています。
日本の浮世絵は、世界的にも評価が高く、高値で取引されています。こちらの作品は、銀座真生堂にて66万円で取引されています。
このように、日本の浮世絵は当時の人々の生活や風俗を生き生きと描き、鮮やかな色彩や繊細な表現となっています。
骨董品の集め方
骨董品は多くの種類があり、収集方法も様々です。主な収集方法は次の5つです。
- 骨董品店に行く
- 骨董市で購入する
- オークションに参加する
- 人から買ったり譲り受ける
- ネットショップで購入する
骨董品は、骨董品店に行くことで最も早く入手できます。しかし、骨董品の収集はそれぞれ目的や用途によって変わってくるため、適した収集方法で集めることが大切です。
また、以下の記事では骨董品収集について詳しく解説しているので、参考にしてください。

骨董品の使い道3選
骨董品を持っている方にとって、使い道は様々です。ここでは主な使い道について次の3つを紹介します。
収集して個展を開く
骨董品コレクションとして個展を開くことは、収集の喜びを共有できます。その際、特定のテーマや作品に沿った収集をすることで、共通の趣味を持った人との交流の機会も生まれるでしょう。
また、個展を開くことで骨董品への関心を高め、同じ趣味を持つ仲間ができるきっかけにも繋がります。
個展会場は、自宅の一部を開放する小規模なものや施設やギャラリーを借りる方法があります。目的や規模によって、費用もかかるので、個展を開く際は念頭に置きましょう。
骨董品投資にチャレンジする
骨董品投資は、資産形成の重要な選択肢の一つです。成功するためには、骨董品市場のトレンドや専門分野の知識も必要になります。
始める際は、特定の骨董品に絞ることで関心も高まり、専門的な知識も深めることができます。
骨董品投資は通常の金融商品と異なり、流動性が低く長期的視点が必要です。なぜなら、骨董品にはまだまだ発見されていない価値の作品もあり、将来的に高値で取引される可能性の作品もあるからです。
また、保管環境を整える維持費も考える必要があります。そのため、長期的な保有と売却までにかかるコストを考えて、投資を行いましょう。
所有している骨董品を整理・売却する
所有している骨董品を整理・売却することは、今後の収集方針や資産活用の両面で有効です。なぜなら、思い入れの深いものに絞ることで、コレクションの質を高められるからです。
また、使用していない骨董品は売却によって資金化すれば、新たな投資や生活向上に役立てられます。自分では十分に活用できない骨董品を手放すことで、真に愛し適切に保存できる新たな所有者へ渡すことにも繋がります。
骨董品は適切な場所で活かされることで、その価値と美しさが継承されていくのです。
銀座真生堂では明治工芸品を取り扱っております

銀座真生堂では、明治時代に作られた工芸品『七宝焼』を取り扱っております。七宝焼は美しい模様や色彩が表現され、現代の技術では再現できない超絶技巧品です。
銀座真生堂は、唯一の明治期の七宝焼専門店として常時、並河靖之、濤川惣助など名工の作品を保有しています。美術館などでガラス越しにしか見ることができなかった並河靖之、濤川惣助の作品を実際にお手に取って鑑賞、ご購入出来る唯一のギャラリーです。
また、銀座真生堂では所有している作品を美術館での展覧会へ貸出すなど文化活動も行なっております。ご興味のある方は、気軽にお問い合わせください。
まとめ
本記事では、骨董品やその種類、代表的な作品などあらゆる視点から、骨董品を解説しました。骨董品はただ単に古いという意味や希少価値のあるものなど、国や時代によって捉え方が変わります。
中でも、価値ある骨董品は、より高値をつけるだけでなく、歴史的・文化的価値や希少性を兼ね備えた貴重なものです。興味のある方は、骨董品を収集したり、投資や売却で得たお金で別のことに情熱を注いでみてもよいでしょう。
本記事があなたのお役に立てることを願っております。