七宝(七宝焼)

有線七宝とは?基本的技法から魅力を解説

EndoAtsushi

日本の伝統工芸品である七宝(七宝焼)は、古くから多くの人に愛されてきました。

しかし、技術の発展や社会の変化により、その制作方法や表現は多様化しています。中でも「有線七宝」という表現がありますが、その特徴や魅力について、あまり知られていないかもしれません。

「有線七宝ってなに?」
「どんな表現技法なの?」
「他の技法を知りたい!」

などの疑問に答えていきます。

今回は、有線七宝に焦点を当て、その特徴や魅力について詳しく解説します。
有線七宝にこだわり続けた並河靖之氏についても紹介します。

この記事を読むことで、有線七宝とはどのようなものか、その特徴や魅力について理解することができます。

また、並河靖之氏のこだわりや、有線七宝と一般的な七宝との違いを比較することで、より深い知識を得ることができますので、ぜひ読んでみてください。

それでは参ります。

有線七宝とは

有線七宝とは、図柄の輪郭線に沿って銀線をかたどり、その中に釉薬を差し焼成する技法です。
植線によって、模様が目立ち繊細な図柄を引き立たせます。

有線七宝にこだわり続けた並河靖之

並河靖之は、近代七宝の原点である有線七宝にこだわり続けてこれを極めました。

東京で活動した無線七宝を得意とするライバルの濤川惣助と共に、二人のナミカワと評され現代の七宝の価値を高めてきた人の一人です。

「どんな鑑定家に見せても恥ずかしくない出来栄えのよい作品のために、何年も時間をかけることは苦痛ではなく、むしろ喜びです。そこから、まさに、賞賛と名誉が得られるのです」と語っているように、有線七宝に並々ならぬこだわりを持ち、作品を作り続けていました。

だからこそ、並河靖之の作品たちは今でも語られるくらい最高の作品として評価されているのでしょう。

七宝(七宝焼)の基本的技法

有線七宝以外にも、七宝で用いられる技法が多くあります。

有線七宝有線七宝とは、銅や銀などの素地に下絵を描き、下絵にしたがって帯状の金属線で色の境目を作り、その中に釉薬をのせ、焼成し、研磨した近代七宝の基本となる技法です。
無線七宝無線七宝は、有線七宝と同じく植線により模様を描き釉薬をのせるが、その後焼成する前に金属線を取り除き、研磨した技法です。明治13年(1880)濤川惣助によって考案されたと伝えられています。無線七宝によって美しいグラデーションやぼかしができるようになりました。
盛上七宝盛上七宝とは、研磨の途中で、盛上げようとする部分にのみ釉薬を使い、盛り上げて焼成し、完成させるものです。より立体感を生むために作られた技法です。
省胎七宝省胎七宝は、主銅の素地に銀線で植線し、透明釉を施し焼成・研磨で仕上げた後、銅の素地を酸で腐食させて取り除き、表面の銀線と釉薬だけを残したものです。
銀線と釉薬の透過効果をねらったもので、完成品はガラス製品のように透き通ります。
しかし、銀線と釉薬だけでできているため、他の七宝に比べて壊れやすいのが欠点です。
明治30年(1897)頃、川出柴太郎によって考案されたといわれています。
透胎七宝胎の一部を切り透かしにして透明釉を施す、あるいは、銅胎の一部を切り透かしにして透明釉を施し、他の銅素地の部分には通常の七宝を施す技法のことです。
陶胎七宝陶胎七宝とは、陶器の素地に七宝を施したものです。
磁胎七宝磁胎七宝とは、磁器の素地に七宝を施したものです。
銀胎七宝銀張七宝は、銅の素地の表面に銀箔を張り、その上に透明や半透明の釉薬を盛りつけて焼成する技法です。銅の素地を使って、銀の素地を用いた時と同じような効果をねらって考え出されたものです。明治27年(1894)に塚本甚平により考案されたもので、明治35年(1902)頃盛んに作られました。

以下の記事で七宝の基本的技法について解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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七宝(七宝焼)の技法を徹底解説!歴史から基本的な技法まで紹介
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まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、有線七宝について解説いたしました。

有線七宝とは、図柄の輪郭線に沿って銀線をかたどり、その中に釉薬を差し焼成する技法です。七宝の模様が目立ち繊細な図柄を引き立たせることができます。

並河靖之が考案し、近代七宝の原点を作り、今に至ります。
有線七宝の美しさを知り、ぜひ七宝を愛する人々にこの記事がお役に立つことを祈っています。

執筆者
銀座真生堂
銀座真生堂
メディア編集部
七宝焼・浮世絵をメインに古美術品から現代アートまで取り扱っております。 どんな作品でも取り扱うのではなく私の目で厳選した美しく、質の高い美術品のみを展示販売しております。 このメディアで、美術品の深みや知識を発信していきます。
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