清風与平とは?歴史から代表作、作品の特徴まで紹介
清風与平は、江戸時代後期から明治時代初期にかけて活躍した京焼の名工です。繊細な筆致と洗練された意匠の茶道具や鑑賞陶器が、国内外から高い評価を受けています。
「清風与平はどんな作品があるの?」
「どのような人生を送ってきたの?」
「清風与平の作品はどこで見られるの?」
清風与平に興味がある方の中には、上記について気になっているでしょう。
本記事では、清風与平がどのような人物であり、どんな作品を製作してきたのかを紹介します。清風与平や清風与平の作品の知識を深めるためにも、この記事をチェックしてみてください。
清風与平とは
三代清風與平(本名:岡田平橘)は、明治時代に活躍した日本を代表する陶芸家です。現在の兵庫県姫路市大塩町で、醤油醸造業と画業を営む父・岡田良平の次男として生まれました。
16歳で京都清水の陶芸家・清風家に養子入りし、本格的に陶磁器の修業を開始します。修行後「三代清風與平」を襲名し、陶芸の技術を磨いていきました。
明治26年には、彼の作品が芸術性と技術力の両面で高く評価されたことで、陶芸家として初めて帝室技芸員に任命されました。42歳という若さで国家的な評価を得たというわけです。
また、パリ万博や内国勧業博覧会などでも多数の受賞歴があり、国際的にも名声を確立しています。
清風与平の代表的な5つの陶芸作品
ここからは、清風与平の代表的な陶芸作品を5つにまとめて紹介します。
それぞれの作品を把握して、清風与平の魅力や知識を深めましょう。
白磁蝶牡丹浮文大瓶
清風与平の代表的な陶芸作品である「白磁蝶牡丹浮文大瓶」は、19世紀後半の京焼を代表する高度な技術と美意識を示す作品です。滑らかな白磁の地に、牡丹と蝶の文様が浮き彫りで表現され、洗練された造形と緻密な装飾が特徴です。
白磁の質感と浮文技法が巧みに調和しています。文様は磁胎そのものを彫り出しており、釉薬の透明感と陰影により立体感が強調されています。
器形は堂々とした大瓶でありながらも、均整の取れたプロポーションが保たれており、実用性と美術性の両立が図られているのもポイントです。
白磁霊芝浮文大瓶
清風与平の代表的な陶芸作品である「白磁霊芝浮文大瓶」は、白磁の美しさと精緻な装飾技術が融合した作品です。高さ約30cmの堂々たる造形で、全体に霊芝をモチーフとした浮き彫り文様が施されています。
霊芝は古来より長寿や吉祥の象徴とされており、意匠は単なる装飾にとどまらず、作品に象徴的な意味を付加しています。与平の技術により、霊芝の曲線が柔らかく立体的に表現されているのが特徴です。
国内外の展覧会でも高く評価されており、日本の近代陶芸における技術的完成度と芸術的価値を示す重要な作品と位置づけられています。
飛青磁大瓶
「飛青磁大瓶」は、近代陶芸における技術的・美術的な到達点のひとつとされています。飛青磁とは、青磁釉の中に偶発的に生じる黒褐色の斑文を意図的に活かし、独自の景色を創出する技法です。
繊細な造形と厚みのある釉薬が一体となり、深みのある青緑色の中に柔らかな表情が浮かび上がっています。形状は均整が取れており、大型でありながらも上品な佇まいを見せています。
「飛青磁大瓶」は、清風与平の技術と美意識の結晶で、理想的な調和を体現しているのが特徴です。
赤地金襴手双蝶文香炉
「赤地金襴手双蝶文香炉」は、赤を基調とした色絵技法により、絢爛な装飾が施されています。表面には、金彩を用いた金襴手技法によって、二羽の蝶が優雅に舞う様子が描かれており、写実性と装飾性が高い水準で融合しています。
蝶の配置や線描は極めて精緻で、職人技の高さを示しているのが特徴です。器形は三足香炉で、安定感のある丸みを帯びたフォルムです。蓋の部分には透かし彫りが施され、香の煙が美しく立ち昇るよう工夫されています。
清風与平が伝統的な京焼に中国の景徳鎮様式や吉祥文様を取り入れつつ、独自の美意識を確立したことを示しています。
月に竹文染付高台皿


「月に竹文染付高台皿」は、染付の技法と構図において極めて高い完成度を示しています。竹林の間から覗く月を描いた意匠が特徴で、日本的な風情と静寂を感じさせる構図です。
竹は古来より清廉さや節度を象徴するモチーフであり、月を組み合わせることで、詩情豊かな景趣が表現されています。絵付けは精緻でありながら、余白を活かした構成によって余韻を残す仕上がりが特徴です。
高台皿という形式自体も格式を持ち、儀礼的な場での使用を想定した形状です。器の中央に描かれる文様と高台とのバランスが計算されており、実用性と鑑賞性を兼ね備えた作品といえます。
清風与平の歴史・年表
清風与平の生涯の主な出来事を年表形式で紹介します。
| 年数 | 詳細 |
|---|---|
| 1851年(嘉永4年) | 播磨国大塩村に生まれる。岡田良平の次男 |
| 1863年(文久3年) | 南画家田能村直入に入門 |
| 1866年(慶応2年) | 清風家の養子に入る |
| 1872年(明治5年) | 陶芸家として独立。二代清風与平の妹くまと結婚 |
| 1873年(明治6年) | ウィーン万国博に出品、受賞 |
| 1878年(明治11年) | 二代目清風が病疫、三代目清風与平を継ぐ |
| 1879年(明治12年) | 元アメリカ大統領に洋食器を制作する |
| 1890年(明治23年) | 第3回内国勧業博に出品し、一等賞を受賞 |
| 1893年(明治26年) | シカゴ・コロンブス世界博に出品。 帝室技芸員に任命される |
| 1895年(明治28年) | 第4回内国勧業博「青華松鶴花瓶」を出品して名誉賞銀牌を受賞 |
| 1990年(明治33年) | パリ万国博にてご下命制作で出品 |
| 1905年(明治38年) | 日本美術協会美術展に「旭彩山桜花瓶」を出品し、宮内省買上 |
| 1907年(明治40年) | 明治天皇に香炉を献上 |
| 1914年(大正3年) | 7月15日に死去 |
21歳に陶芸家として独立してから、数多くの賞を受賞したり大統領や天皇に商品を制作したりした実績があります。技術の革新と芸術性の融合を追求し、国内外の博覧会で成果を上げ続けたことにより、日本陶芸の近代化と国際化を先導した功績は極めて大きいです。
1914年に死去するまで、清風与平は日本の陶芸界を牽引し続けました。死去した後も清風与平の作品は高い評価を受け続けています。
清風与平が作る陶芸作品の特徴3選
ここでは、清風与平が作る陶芸作品の特徴を3つにまとめて紹介します。
それぞれの特徴を把握して、清風与平の作品の知識を深めてみてください。
特徴①:太白磁瑍白釉ノ製土及ヒ浮起紋彫刻ノ製法
清風与平が手がけた陶芸作品の中でも、太白磁瑍白釉を用いた製作と浮起紋彫刻による加飾は、技術的・美術的に高く評価されています。太白磁瑍白釉は、高純度の白磁土に透明感のある白釉を施すことで、柔らかな光沢と繊細な陰影を生み出します。
釉薬は高温で焼成されることにより、器表面に滑らかで澄んだ白色を実現し、純白ながらも深みのある風合いをもたらすのが特徴です。焼成時のわずかな温度変化にも敏感で、焼き上がりには高度な制御が求められます。
また、浮起紋彫刻の技法により、器面に文様が浮かび上がるような立体的な表現が可能です。素地に文様を彫り、釉薬との反応で模様の輪郭が際立つ設計です。
単なる装飾を超えて、器自体が彫刻的な美しさを備えます。視覚と触覚の両方に訴える造形は、明治期工芸の中でも高い技術といえます。
特徴②:作品に対する独自の解釈と技法
清風与平が手がける陶芸作品は、伝統的な技術にとどまらず、独自の解釈と革新的な技法によって高い評価を受けています。単に形や色彩の美しさを追求するのではなく、作品そのものに思想や哲学を込めているのが特徴です。
たとえば、伝統的な釉薬や焼成方法を用いながらも、素材の質感や焼き加減に独自の変化を加えることで、意図的な不均一さや偶然性を演出しています。完璧さよりも自然なゆらぎを尊重するという思想に基づくものです。
また、器や茶碗といった実用品にも美術的価値を持たせる造形をおこない、鑑賞と使用の両面での完成度を高めています。実用性と芸術性の両立を意識した制作は、従来の枠組みにとらわれない柔軟な発想によるものです。
清風与平の作品は、伝統と革新の融合によって生まれたものであり、陶芸の新たな表現領域を切り開いているといえます。
特徴③:近代陶芸を展開
清風与平の陶芸作品は、近代陶芸の流れを巧みに取り入れているのが特徴です。伝統的な技法を尊重しつつも、現代的な美意識や機能性を融合させることで、新たな表現を追求しています。
作品にはシンプルで洗練されたフォルムが多く見られ、過度な装飾を避けることで素材そのものの質感や釉薬の美しさを際立たせています。使う人の日常に自然に溶け込む実用性も兼ね備えているのもポイントです。
また、色彩や質感の変化を巧みに操ることで、静謐でありながらも温かみのある作品が生まれています。清風与平の作品は、伝統と現代性を調和させることで、近代陶芸の可能性を広げているといえるでしょう。
清風与平の作品を見られる美術館や博物館
清風与平の作品は、下記の美術館や博物館で見ることができます。
東京と兵庫、京都で清風与平の作品を鑑賞できるため、実際の作品を見たい方は訪れてみてください。特に、東京国立博物館は複数の作品が所蔵されており、他の美術館や博物館よりも多くの作品を鑑賞できるでしょう。
銀座真生堂では明治期の作品を取り扱っています

銀座真生堂では、明治期に制作された貴重な美術作品を数多く取り扱っています。特に銀座真生堂は、明治時代の七宝焼を専門に扱っているため、並河靖之や濤川惣助といった名工の七宝焼が気になっている方におすすめです。
七宝焼以外にも、明治期の作品を幅広く揃えており、厳選された質の高い美術品を紹介しています。明治期の芸術作品を間近で見たり購入したい場合は、一度訪れてみてください。
専門スタッフの知識を通じて、明治期の芸術作品の魅力を味わえるでしょう。
まとめ
清風与平は、江戸時代後期から明治時代初期にかけて活躍した京焼の名工です。代々続く陶工の家系に生まれ、特に三代目が最も著名とされています。
繊細な筆致と洗練された意匠が特徴であり、茶道具や鑑賞陶器として高い評価を受けています。中でも、染付や色絵の技術に優れ、上品な色使いと落ち着いた雰囲気を兼ね備えているのが特徴です。
清風与平の作品に興味がある方は、美術館や博物館などを訪れ、細部まで鑑賞してみてください。

