七宝焼

【七宝焼きの名工】並河靖之の花瓶・香炉がある工房と年譜

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明治時代の七宝焼き作家を代表する並河靖之の作品は、花瓶や香炉・壺・皿などさまざまですが、その一つ一つが小さいことが特徴です。独創的な色彩のセンスで海外でも認められるようになり、日本の七宝焼きを最高水準に引き上げました。

手作業による繊細で美しい作品は、個人邸宅兼工房である並河邸で生まれました。現在では並河靖之七宝記念館として、並河靖之の作品や歴史に触れることができます。こちらでは、並河靖之七宝記念館の特徴と見どころ、並河靖之の年譜についてご紹介いたします。並河靖之の作品が気になる方は、銀座 真生堂をご利用ください。

並河靖之七宝記念館の特徴

白川通り

並河靖之が個人邸宅兼工房として利用していた並河邸は、現在の並河靖之七宝記念館として一般公開されており、七宝焼きの作品展などを開催しています。並河靖之七宝記念館は、京都の東山、三条神宮道を上った白川沿いにあります。

明治27年に建てられた並河邸は、虫籠窓(むしこまど)・駒寄・一文字瓦など、明治時代の建築の特徴を随所に見ることができます。表屋・旧工房・旧窯場は国登録有形文化財に指定されており、外観は大規模な表家造りで京都の伝統的な商家の構えです。

海外からのお客様を迎え入れた応接間は当時のままで、この部屋の鴨居が高いのは背が高い海外のお客様への配慮の証です。ここから並河靖之の七宝焼きは世界へと旅立っていきました。

並河靖之七宝記念館には七宝焼きの作品が130点余り所蔵されており、記念館に所蔵している七宝焼きは世界の美術界の中でも貴重な作品だといわれています。

並河靖之七宝記念館の見どころ

並河靖之七宝記念館(並河邸)といえば、隣同士で親しかった「植治」こと七代目・小川治兵衛が並河邸の横を流れる白川の琵琶湖疏水を利用して造った庭園です。京都で建物の縁側の中まで水を引き込んでいる庭園は、並河邸と智積院(ちしゃくいん)の2か所ほどしかないため、かなり珍しい庭園だといえます。

庭園の大部分を占める池から、急激に浅瀬へと向かい、なつめ形の手水鉢(ちょうずばち)で二手にわかれる流水は、躍動感あふれる斬新な構成です。京都市の指定名勝となっている庭園を、眺めることができる窓が波打っていたり、景石や燈篭などの石のこだわりも見どころです。

そして何より、並河靖之の生活と製作の場であった空間で、貴重な七宝焼きを鑑賞できること、並河独自の技巧から繊細なグラデーションや日本の四季折々を感じられることが並河靖之七宝記念館の最大の見どころといえるでしょう。

並河靖之の年譜

こちらでは、並河靖之の年譜をご紹介いたします。

・1845年

9月1日、現在の埼玉県川越市の藩主、松平大和守家臣高岡九郎左衛門の三男として京都屋敷のあった柳馬場御池に生まれます。

・1855年

数え年11歳のときに青蓮院宮侍臣並河靖全の養嗣子となると同時に、その家業を受け継いで自らが青蓮宮侍臣となりました。

・1873年

中国の七宝焼きの模造を試み、12月に食籠を完成させます。宮家に仕えるかたわらで、七宝業を始めます。

・1874年

桃井英升を招き、尾張七宝の技術指導を受けます。

・1875年

第4回京都博覧会にて花瓶の七宝焼きを出品し、有功銅賞を受賞します。

・1878年

東京で七宝釉薬の改良を指導していたドイツのワグネルが京都の舎密局に着任。並河はパリの万国博覧会に銀製七宝茶入を出品し、銀賞を受賞します。この年に青蓮宮侍臣を辞め、七宝業に専念します。

・1885年

ロンドン万国発明品博覧会に出品して銅賞受賞。ニュールンベルク金工万国博覧会に出品し銀賞・紀念賞受賞。ニューオリンズ万国博覧会に出品して一等金賞を受賞。

・1889年

日本美術協会会員となり、パリ万国博覧会に出品し、金賞を受賞します。

・1890年

京都美術協会を発足し、評議員となります。第3回内国勧業博覧会に鳳凰唐草紋七宝花瓶を出品し、妙技一等賞を受賞します。

・1894年

並河邸(個人邸宅兼工房)竣工。

・1896年

帝室技芸員となります。

・1903年

第5回内国勧業博覧会に金線七宝竹図花瓶を出品し、二等賞を受賞します。

・1923年

七宝工房を閉鎖します。

・1927年

5月24日83歳で病気のためこの世を去ります。

並河靖之の七宝作家としての歩みは、1873(明治6)年に中国の七宝焼きをもとに第一号の完成品を成功させたことで始まりました。七宝工房を閉鎖するまでに同じ時代を生きた画家・工芸家・文人・華族など人々との交流にも並河の人柄が表れています。

唯一無二の感性を培った並河はこれまでに壺や花瓶、香炉、皿など幅広い作品を生み出し、その作品が国内外で多くの賞を獲得したことで、日本の七宝焼きの価値を高めていったのです。

並河靖之の七宝焼きをお探しの方は銀座 真生堂へ

並河靖之の犬が描かれた七宝焼

並河靖之の数々の七宝焼きが生まれた、並河靖之七宝記念館(並河邸)の歴史や見どころ、並河自身の年譜をたどることで、より並河の七宝焼きの奥深さを知ることが出来たと思います。

銀座 真生堂では、並河靖之の花瓶・壺・香炉・香水瓶・皿など貴重な七宝焼きを幅広く取り扱っています。並河靖之の七宝焼きをお探しの方は、銀座 真生堂をご利用ください。

執筆者
銀座真生堂
銀座真生堂
メディア編集部
七宝焼・浮世絵をメインに古美術品から現代アートまで取り扱っております。 どんな作品でも取り扱うのではなく私の目で厳選した美しく、質の高い美術品のみを展示販売しております。 このメディアで、美術品の深みや知識を発信していきます。
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