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【伝統工芸品】漆器とは?歴史や魅力、種類まで詳しく紹介

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漆器は、日本を代表する工芸品のひとつです。日本だけでなく海外でも人気を博しており、日常生活の中にも馴染んだ存在です。そんな漆器ですが、漆器について詳しく知り尽くしている人は少ないでしょう。

実は、漆器は見た目だけでなく様々な利点があり、機能面でも優れているのです。そこで本記事では、そもそも漆器とはどんなものなのかや、漆器がたどってきた歴史、30以上もある漆器の種類などを紹介していきます。

加えて、漆器はどのように人々を魅了していったのか、他のアジア諸国ではどんな漆器があるのかも紹介します。「漆器についてもっと詳しく知りたい」「どんな漆器があるのか知りたい」という方は必見です。

漆器とは

漆器とは、漆を使って作られた漆工品のことです。器だけでなく、家具などでも漆が塗られているものは漆器に数えられます。

漆器は見た目に上品なツヤがあり、ものによっては装飾も施され、見た目が美しいことが代表的な特徴です。しかし、漆器の良さはそれだけではなく、実は耐熱性に優れていたり、抗菌効果があったりするなど機能面でも優れています。

漆を塗ると器が丈夫になるため、壊れにくく長持ちするとも言われているのです。このように漆器には様々な良さがあり、日本でも海外でも愛されている伝統工芸品と言えます。

漆器の歴史

実は、漆器にはとても長い歴史があります。世界最古の漆器は、なんと約12,600年も昔に発掘されているのです。

そして、漆器は時代とともに用途が変わっていったり、装飾が豊かになっていったりしました。ついには輸出用の漆器も出てきて、きらびやかな装飾が日本国外の人々も魅了していったのです。

下記の記事では、漆器の歴史を紹介しています。「漆器の歴史を詳しく知りたい」という方や、「海外で漆器はどのように扱われていたのか知りたい」という方は必見です。

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漆器の種類

漆器の種類はとても豊富で、30以上もあると言われています。そのうち23種類は伝統工芸品に認定されています。漆器は長い時間をかけて多くの技法が生み出されてきたのです。

例えば、地の粉を使って作られた「輪島塗」や蒔絵が特徴的な「金沢漆器」、木目のあたたかみが魅力の「山中漆器」などがあります。30種類以上あるのにも関わらず、どの漆器にも違った魅力があるのです。

下記の記事では、漆器の代表的な種類や漆の種類、日本三大漆器について詳しく解説しています。「漆器の種類ごとの違いを知りたい」という方や、「漆の違いについて知りたい」という方は必見です。

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漆器の魅力

ここまでも漆器の魅力をいくつかお伝えしてきましたが、漆器の魅力はこれだけに留まりません。漆器は伝統工芸品としての魅力だけではなく、日常使いできる器としての魅力も備わっています。

例えば、耐熱性が優れていることで熱い味噌汁やごはんを注いでも器を手で持つことができる点などです。下記の記事では、日常使いできる器としての漆器の魅力も含めて、様々な魅力を紹介しています。

「漆器の魅力にはどんなものがあるのか知りたい」という方や、「海外の人にとっての漆器の魅力を知りたい」という方は必見です。

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漆器の作品

漆器が持つ様々な魅力を知ったら、今度は漆器の作品を見てみましょう。漆器の作品はシンプルで上品なものから、技法を組み合わせて作られた豪華な装飾のものまで幅広くあります。

現代アートを用いた漆器作品もあり、発想と組み合わせ次第でどんな表現も可能なのです。下記の記事では、様々な技法を用いた漆器作品を紹介しています。

技法の解説もあわせて行っているので、技法の知識がない人も作品を楽しめるはずです。「漆器の作品に使われている主な技法が知りたい」「漆器の様々な作品を知りたい」という方は一度見てみましょう。

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日常生活で使われる漆器

日常生活で使いやすい漆器として有名なものには、越前漆器が挙げられます。越前漆器は上品な見た目をしていますが、ハイペースでの大量生産が可能なため、比較的安価に購入できるのです。

また、漆の種類によっても日常使いのしやすさが変わってきます。漆100%の本漆は耐熱性に優れていますが、とはいえ電子レンジや食洗器の熱には耐えることができません。

その点、漆に合成樹脂を混ぜ合わせた素材「合成漆」を使った漆器なら電子レンジで熱することが可能です。ウレタン樹脂を使った塗料「ウレタン漆」を使った漆器なら、食洗器の熱にも耐えられます。

このように、漆器ひとつとっても漆や漆器の種類によって機能性や価格が異なり、日常使いのしやすさが変わってくるのです。

日本以外のアジア漆器

続いて、日本以外のアジア漆器についてです。実は漆器は、日本だけでなく他のアジアでも積極的に生産されていて、代表的な国の漆器としては下記が挙げられます。

  • 中国の漆器
  • ミャンマーの漆器
  • タイの漆器
  • ベトナムの漆器
  • 朝鮮の漆器

以下ではアジア漆器の魅力について紹介していくので、「アジア漆器について詳しく知りたい」という方は必見です。それでは、それぞれのアジア漆器について具体的に解説していきます。

中国の漆器

中国の漆器の特徴は、耐久性や耐熱性などが高く、日本と同様に様々な技法が用いられている点です。日本では見られない技法としては、何重にも重ねた漆に文様を彫る「彫漆」などが挙げられます。

細かく彫られた文様がとても美しく、そこに色漆を重ねた作品も魅力的です。中国と日本が気軽に行き来しやすくなると、中国の技法が日本に伝わるようになり、それが日本で発展していったこともあります。

また、現時点で発見されている最古の中国漆器は、約8,200年前に作られたものです。しかし、中国の古い漆器は現存しているものがそれほど多くなく、とても貴重な漆器とされています。

ミャンマーの漆器

ミャンマーの漆器の特徴は、ビルマウルシという漆から採取できる樹液と竹を原材料として使用している点です。竹で漆器を形どり、その上に漆を重ね塗りしていきます。

ミャンマーの漆器は14世紀のタイから技法が伝わり、発展してきました。ミャンマーの中の有名な産地としてはバガンが挙げられ、バガンでは日常使いできる漆器をメインに売られています。

ミャンマーの漆器にも様々な見た目のものがありますが、装飾されたものはアジアらしさが出ていてとても魅力的です。しかし、原材料費の高騰などにより、漆器の製作所の過半数が閉鎖に追い込まれています。

タイの漆器

タイの漆器の特徴は、器に彫った文様に色漆を注ぐ技法「蒟醤」で作られた漆器が多いことです。漆黒の基盤に朱漆で文様が表されるのは、シンプルながらも上品な美しさを生み出しています。

また、蒟醤はタイから日本に伝わってきた技法でもあるのです。そんなタイの漆器に使われる漆の多くは、ミャンマー産の漆だと言われています。

さらに、タイの漆器はミャンマーと同様に、竹で形を作ってその上から漆を塗っていく作り方です。タイとミャンマーの漆器は似ているところが多いと言えるでしょう。

ベトナムの漆器

ベトナムの漆器の特徴は、ソン・マイという技法が用いられている点です。ソン・マイとは漆で絵を描く技法で、西洋らしいものから東洋らしいものまで様々な作風が用いられています。

ベトナムの漆器は東南アジア初期の時代から使われており、主に日常生活に用いる漆器が作られていたのだそうです。その後、中国など他国から影響を受けたことで、現在のベトナム漆器が確立されていきました。

ベトナム漆器に描かれる絵はとても華やかで繊細です。漆器の土台となる色も鮮やかであるため、目で見るだけでも楽しい漆器と言えます。

朝鮮の漆器

朝鮮の漆器の特徴は、夜光貝などの貝殻を埋め込む「螺鈿」という技法を用いた漆器が有名であったことです。現在は衰退してしまいましたが、かつては螺鈿の発展だけを追及していました。

朝鮮の漆器では、花や鳥が描かれたものや山水文が描かれたものなどが多いようです。貝を用いた技法を使っているため、漆器の装飾はとてもきらびやかで美しく感じます。

特に漆黒の漆に螺鈿を施した作品は、貝が一層輝いているように見え、とても神秘的な雰囲気です。

欧州漆器

ここからは、漆器人気が高いヨーロッパの漆器「欧州漆器」について解説していきます。有名な欧州漆器は二種類あり、南蛮漆器と紅毛漆器です。

南蛮漆器と紅毛漆器はそれぞれ生まれた時代が違い、装飾も異なります。南蛮漆器と紅毛漆器がそれぞれどの時代にどんな魅力を発揮してきたのかを見ていきましょう。

「欧州漆器について詳しく知りたい」という方は必見です。

南蛮漆器

南蛮漆器とは、安土桃山時代から日本が鎖国するまでの50年間に日本からヨーロッパに輸出されていた漆器のことです。この南蛮漆器の特徴は、螺鈿や金の粉「蒔絵紛」を使って装飾する技法「蒔絵」が施されていることでしょう。

また、南蛮漆器はヨーロッパ向けにオーダーされ作られた漆器です。そのため、南蛮漆器は鎖国になるまでの期間に、ヨーロッパと日本の交流を深めるきっかけの一つとなりました。

特にヨーロッパの人々を魅了したのは、きらびやかで豪華な装飾でした。こうして南蛮漆器はヨーロッパでの漆器人気を高めていったのです。

紅毛漆器

紅毛漆器とは、鎖国してからオランダとの交易において作られた漆器です。オランダ人の呼び名が紅毛人であったため、紅毛漆器と名づけられました。

紅毛漆器はきらびやかな南蛮漆器とは対照的に、漆黒の余白を残して装飾が施されたより上品な見た目です。漆黒の土台に山水文などの装飾がされ、蒔絵が用いられます。

鎖国をしていることもあり、漆器の価値はどんどん上がっていき、漆器はヨーロッパで高級品となっていきました。それでもヨーロッパの貴族は漆器を求め、漆器は富や権力の象徴となっていたようです。

銀座真生堂では明治工芸品を取り扱っております

銀座真生堂では、漆器が海外に輸出されていた時期と同じ時期に数多く輸出された明治工芸品「七宝焼」を取り扱っております。七宝焼は美しい模様や色彩が表現された、現代の技術では再現できないとされる超絶技巧品です。

銀座真生堂は、唯一の明治期の七宝焼専門店として常時、並河靖之、濤川惣助など名工の作品を保有できています。美術館などでガラス越しにしか見ることが出来なかった並河靖之、濤川惣助の作品を実際にお手に取って鑑賞、ご購入出来る唯一のギャラリーです。

また、銀座真生堂では所有している作品を美術館での展覧会などへ貸出すなど文化活動も行なっております。ご興味のある方は、気軽にお問い合わせください。

まとめ

本記事では、漆器とは何かや漆器の様々な種類、歴史など漆器について幅広く紹介していきました。また、漆器はアジア諸国でも作られており、国ごとに漆器の特徴も変わってきます。

漆器は日本だけでなく海外の大きな美術館でも展示されているので、興味のある方はぜひ一度行ってみてはいかがでしょうか。

また、以下の記事では明治工芸について詳しく解説しているため、あわせて参考にしてください。本記事があなたのお役に立てることを願っております。

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銀座真生堂
銀座真生堂
メディア編集部
七宝焼・浮世絵をメインに古美術品から現代アートまで取り扱っております。 どんな作品でも取り扱うのではなく私の目で厳選した美しく、質の高い美術品のみを展示販売しております。 このメディアで、美術品の深みや知識を発信していきます。
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