漆器の魅力3選!海外から見た輸出漆器の魅力まで紹介
漆器にはたくさんの魅力があります。分かりやすい部分でいえば見た目の美しさがありますが、他にも様々な産地の漆器があるなどの魅力があります。そのため、漆器の魅力は一言では表せません。
この記事を読むことで、表面的な漆器の魅力だけでなく、深い部分の意外な漆器の魅力も知ることができます。そのため、この記事は下記の内容を知りたい方に特におすすめです。
- なぜ漆器が人気なのか、愛されている理由を知りたい
- 漆器の魅力をもっと深く知りたい
そのほかに、海外の方にとっての漆器の魅力についても解説していくので、輸出漆器の魅力についても知りたい方は必見です。
なお、下の記事では漆器についてより詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
漆器の魅力3選
さっそく、漆器の魅力を3つにまとめて解説します。
- 見た目が美しい
- 使えば使うほど魅力が増す
- 様々な産地の漆器がある
漆器が日本だけでなく、海外からも多くの人気を集めた理由を詳しく解説するので、参考にしてください。
見た目が美しい
漆器の1つ目の魅力は、見た目が美しいことです。これが一番分かりやすい漆器の魅力といえるでしょう。
漆器の見た目は、シンプルなものから蒔絵や螺鈿といったきらびやかな装飾が施されたものまで、作品によって全く異なります。「どの漆を使うか」「柄は彫るのか」「金箔はまくのか」「絵は描くのか」など、たくさんの選択肢があるのです。
季節に合った絵柄が描かれることもあります。漆器の種類だけでも30を超える上に技法を組み合わせることもできるので、表現方法は無限大です。
また、塗り方が変わるだけでツヤの出方も変わります。見た目一つをとっても、魅力を語り切れないのが漆器なのです。
具体的にどんな見た目の漆器があるか気になる方は、以下の漆器作品を紹介した記事をご覧ください。
使えば使うほど魅力が増す
漆器の2つ目の魅力は、使えば使うほど魅力が増すという点です。漆器を長い期間使い続けることで、よりツヤが出てきたり、色合いや質感が良い意味で変化してきたりします。
この色合いの変化などが、漆器の味をより引き出していくのです。使っていくと当然劣化していくものが多い中で、漆器は10年後20年後の装いが楽しみになる珍しい品といえます。
ただし、これは本漆で作られた漆器が有する魅力です。ウレタン樹脂を使った塗料「ウレタン漆」などで作られた漆器は、使えば使うほど逆に曇っていってしまいます。
使えば使うほど魅力を増す漆器を楽しみたい場合は、「どの漆で作られているのか」も必ず確認するようにしましょう。
様々な産地の漆器がある
漆器の3つ目の魅力は、様々な産地の漆器があることです。伝統的工芸品として認められている産地だけでも23箇所あります。
有名な産地だと、石川県や福島県、福井県などです。特に石川県の輪島塗などは、知らない人の方が少ないでしょう。
様々な産地の漆器について知りたい方は、以下の記事を見てみてください。有名な漆器の種類を10個、分かりやすく解説しています。
海外も魅了した輸出漆器
ここからは、輸出漆器の魅力を紹介します。輸出漆器とはその名の通り、輸出用に作られた漆器のことです。輸出漆器が海外に広まったことで、日本の漆器は海外でも大きな人気を得ることになりました。
- 海外で漆器がどう魅力的に映っているのか
- 海外で漆器はどんなふうに扱われていたのか
このようなことを知りたい方はぜひチェックしてください。
ヨーロッパの王侯貴族に使われた漆器
安土桃山時代から日本が鎖国するまでの50年間、漆器はヨーロッパへ輸出されていました。この時代にヨーロッパへ輸出されていた漆器を「南蛮漆器」といいます。
南蛮漆器の特徴は、貝殻を装飾に用いた技法「螺鈿」や金の粉「蒔絵紛」を使って装飾する技法「蒔絵」が用いられている点です。螺鈿や蒔絵を用いることで、きらびやかな装飾となり、その豪華さが海外の人にはとても魅力的に映りました。
また、ツヤのある濃い黒色「漆黒」の漆器も人気でした。鎖国時代に入ると漆器は海外の人にとって高級品になるため、ヨーロッパの王侯貴族の中でも人気を博していきます。
なお、下の記事では「蒔絵」について詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
キリスト教徒にも使われた漆器
漆器はキリスト教徒にも使われました。実は、そもそも漆器が輸出されるきっかけとなったのはイエズス会の宣教師たちです。
イエズス会の宣教師たちは、日本に渡った際にきらびやかな漆器に目を付けました。海外に輸出すれば人気が出ると踏み、輸出に踏み切ったのです。
しかし、宣教師たちに使われたのは輸出するための漆器ではなく、宗教用具として作られた漆器でした。宗教用具としての漆器は、主にキリスト教の儀式として使われました。宣教師たちにとって漆器は単なる商売品ではなく、神聖なものでもありました。
鎖国時代も人気は衰えなかった
鎖国時代に突入すると、オランダとの交易で「紅毛漆器」と呼ばれる漆器が誕生しました。この紅毛漆器は装飾で埋め尽くされた南蛮漆器とは一線を画し、漆黒で塗られただけの部分をあえて残し、装飾も施した漆器です。漆器には山水文も描かれています。
鎖国をしているので漆器の輸出量は当然下がっていき、輸出漆器の価格が一気に高騰していきました。その結果、前述した通りヨーロッパの王侯貴族の中で漆器が人気になっていったのです。
また、高級品となった漆器を手に入れやすくするためか、ヨーロッパ各地ではジャパニングという模倣の技法が発展していきました。模倣してでも漆器を手に入れたいと思うほど、漆器は海外の人を魅了していたのです。
開国後に再熱した漆器
鎖国が終わり、開国すると再び漆器文化が広がっていきました。この頃は漆黒の漆器が流行りました。
明治時代には万国博覧会へ漆器を出展するようになり、またヨーロッパでの漆器人気が高まっていきます。実際に万国博覧会では多くの漆器作家が受賞しており、日本漆器に対する評価の高さを感じさせます。
そもそも漆器は海外で「ジャパン」と言われるほど、日本の文化として評価されている工芸品です。こうして長い時代にわたって漆器は海外の人までもを魅了し、今も尚人気であり続けています。
銀座真生堂では明治工芸品を取り扱っております
銀座真生堂では、漆器が海外に輸出されていた時期と同じ時期に数多く輸出された明治工芸品「七宝焼」を取り扱っております。七宝焼は美しい模様や色彩が表現された、現代の技術では再現できないとされる超絶技巧品です。
銀座真生堂は、唯一の明治期の七宝焼専門店として常時、並河靖之、濤川惣助など名工の作品を保有できています。美術館などでガラス越しにしか見ることが出来なかった並河靖之、濤川惣助の作品を実際にお手に取って鑑賞、ご購入出来る唯一のギャラリーです。
また、銀座真生堂では所有している作品を美術館での展覧会などへ貸出すなど文化活動も行なっております。ご興味のある方は、気軽にお問い合わせください。
まとめ
本記事では、日本の代表的な工芸品である漆器の魅力や、海外での人気について紹介しました。漆器は今や幅広い価格帯のものがあり、それぞれがたくさんの魅力を有しています。
漆器は日本だけでなく海外の大きな美術館でも展示されているので、興味のある方はぜひ一度行ってみてはいかがでしょうか。
また、以下の記事では明治工芸について詳しく解説しているため、あわせて参考にしてください。本記事があなたのお役に立てることを願っております。